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タイ、バンコクにはなぜこれほどまでに屋台の数が多いのでしょう。ふらっと街を歩くだけで驚くほどの種類の屋台に出会います。バーミーやセンレックといったタイラーメンを売る屋台に始まり丼飯風の揚げ物、ご飯ものから中国料理、海鮮料理などありとあらゆる屋台があります。
日本ではみられないおもしろいものでは、果物屋台。
ガラスケースに入ったスイカ、マンゴー、パイナップル、ファラン(グアバ)などが氷で冷やされており、注文するとそれをまな板の上で食べやすい大きさにきり、ビニール袋に入れて一丁あがり。ほかに自転車型屋台アイスクリーム屋さん。これは昔日本にもあったそうな。ちりんちりんと鈴を鳴らしながら、もしくは趣味の悪い音楽を流しながらのんびり商売。アイスクリームは6種類くらいで、ココナッツアイスが一番人気。あっさり甘くてバンコクのねっとり空気にぴったりの一品。ただバンコクの人はこれらのアイスにトッピングとしてもち米をのせてしまったりパンにはさんだりとすごいことをしてくれるのでおもしろい。
ほかに移動できない屋台としてバナナ、ジャガイモ、サツマイモなどを揚げて売っている揚げバナナがメインの屋台。バナナや芋をうすくきって丸いばかでかいフライパンで揚げているのですぐわかります。油の種類、衣に漬け込むたれで味が大きく変わってくるとか。
変り種として夜のみ営業の焼きするめ屋台。注文するとするめをさっとあぶりローラーで伸ばして甘いたれを添えてくれます。
だけどいったいこれだけたくさんの屋台、だれのために開かれているのでしょう? そもそもこれだけの数の屋台が存在しているということは、屋台を開くための準備が簡単に整ってしまうのでありましょう。屋台を開くための免許とか、衛生管理云々とか頭の痛い問題は一切なし。バンコクの屋台を開くために必要なものや、条件なんて何もないとのこと。なるほどこのように、バンコクという街は実に簡単に屋台ができていきます。
一番多いのは主婦のアルバイト的屋台。たいていの屋台は女性が切り盛りしておりますが、みなさんたいてい家庭の主婦なのです。お料理の得意な女性がその特技を生かし、屋台を開くというパターンです。その料理の腕前は、家庭のために磨かれるのではなく、屋台ビジネスとしてお金に換わっていくのでした。
また仲のいいお友達どうしで始める屋台もあります。何人かで発作的(そのように見えるだけ?)に集まり、相談がかたまって突如として屋台が出現。味やどういった層をターゲットにしぼるか。店舗の立地や付近の交通事情などは一切おかまいなしで、とにかく突然出現する、という感じなのです。そして悲しいかな、おいしくないとの烙印を押された屋台はぷっつりと姿をけしていきます。が、悲壮感など全然ありません。それほど気楽、だめならだめでしかたがないくらいの気負い。それが屋台。
バンコクの屋台はアバウトで人に優しい。とある一軒の屋台に入りひとつのテーブルに座ってもその屋台だけでなく付近に屋台を出しているお店ならどこからでも注文が可能です。だから1つのテーブルでさまざまな料理を注文できるのも屋台の醍醐味。支払いもまとめて支払えばあとで金額を考慮して振り分けてくれているようです。こんなふうだから、バンコクの屋台からはそこに暮らす人々の息遣いみたいなものがびしびし伝わってくるのです。
バンコクの人々は誰でも料理人であり、家庭で食べられるタイ料理をなんの惜しげもなく旅行者に提供してくれるといったところでしょうか。 バンコクの屋台はこの国を訪れた旅行者のためというより、この国に暮らす人々のために開かれているのです。 例外はありますが、こちらのおかあさんは、ほとんどお料理をいたしません。もちろんお父さんもいたしません。料理は外で買ってくる、もしくは外の屋台でふらりと食べる。というのが毎日の暮らしに自然と組み込まれているのです。スーパーで食材を買い、ガスや電気や労力を使って食事を整えるより外で買ってきたほうが安いか、それほど代わらないというのがもっとも大きな理由のひとつ。
なんて素晴らしいシステムでしょう。働く女性を応援するとはこういう社会が底辺にないと絶対実現しないことです。
タイの普通レベルのコンドミニアムにはキッチンがありません。間取りは部屋と廊下、トイレ、バスのみです。キッチンを作りたい人は簡易的なガスコンロを買って、マイクロウェーブを備え水周りを整えて完成としています。もっと大きな邸宅や高級コンドミニアムには立派なキッチンがありますが、こちらは女主人が腕を振るう場所ではなく、住み込みのお手伝いさんの職場。もっとも、運がよければ一年に一度くらいは、趣味で覚えたタイ料理が家庭の奥様からサーブされるかもしれません。ちなみに弊社のスタッフ、知人、同じコンドミニアムに住むタイ人女性にあなたは料理をしますか?と問うてみたところ、32名が料理しない、2名が料理をする、という結果でした。
それにしても料理しない人32名とは!!